MEATERSの観察日記


by dj-fut

虚の館


前回までのあらすじ




ひさしぶりに友人の大野くんから電話があり

大野くんの親が所有するアパートの一室にオバケが出るらしく、入居者が次々と出て行ってしまい、他の部屋の人間まで引っ越してしまった、という相談を受ける。



なので原因究明と解消のため大野くんとおれで現地に調査がてら泊まりこむことに。




とりあえず現在の装備、




お札、塩、日本酒、それと変態への餌として女性用下着、変態退治用にバールを用意した。









しかし日本酒の使い道が今ひとつわからずとりあえず飲んでみる事に。
























「澤乃井か。」





















「まぁ檀家さんが用意したらしいんでぼくのセンスではないですけど。」















と言いながら大野くんはおれの紙コップに日本酒を注いだ。



















「どうするの?乾杯でいいの?」



























「いいんじゃないですか?」

























「じゃあ、おつかれ!!」
























そこからとてもカオスな空間での飲み会が始まった。





















「そういえばレストランは皿洗いから卒業できたの?」



















「とっくですよ。いまはもう調理してますよ。料理長にもセンスあるって言われましたしね。」

















「へぇ!すげぇじゃんか!何を作ってほめられたの?」




















「おまえ、ひき肉ひくのうまいな、って言われました。」



















「ひき肉か・・・あ・・・
あとは何作れるの?」


























「あとはサルシッチャの仕込みしたりしてますね。」





















あぁ、どっちもひき肉な。




















「そういえば、間違えて買った破魔矢って持ってきたの?」




















そう。直前にわかったのだが、大野くんにお札を買っておくように伝えたはずが、彼は間違えて破魔矢を買ってしまっていたのだ。








「いや、なんかぼくもあの時は神戸いたんで準備は全部母に頼んだんですよ。
そしたら8万円するやつ頼んだら
なんか金屏風とかガラスケースとかついてきちゃって・・・」




















「金屏風?それ正月飾りじゃねーのか?

ってか、母ちゃんに頼んだの!?下着も!?

てか、8万て!8万の矢を変態に撃ち込もうとしてたのか!!」



















「質問は一度にひとつですよ。」



















イライラッ


















「なんだ?おまえあいかわらずたまにうぜーな。取り憑かれてんのか?」







「冬人くんもあいかわらず口が悪いですよね。
でもぼくってうざいですか?」




















そういう質問をするとこがもううざいんです。


という言葉を飲み込みつつ大野くんの紙コップに日本酒を注ぐ。






















「いや、うざいっていうか・・・たぶんあれだよ。清められてねーんだよそれ。お清めが足りねーんだよ」


























1時間後




















右手の紙コップはすでに柔らかくなっており、持っているのも難しいほどだった。



















「ちがいますぅ!!AKBとモー娘はぜんぜん違いますぅ!!」























「一緒だよ。ブスにかわいい子混ぜ込んで売ってるだけじゃん。」


















「いや!パフォーマンスのクオリティーもちがうしそもそもプロデューサーがちがいます!」


















「プロデューサーとかわかってるなら話が早ぇや。

会いたかったぁYES!とか言ってるけど、会いたがってるのは秋元康だからな?
しかもおまえに会いたがってるわけじゃなくおまえのお金に会いたがってるんだよ?」























「そ・・・それを言ったら面白くないじゃないですか!」


















「だから面白くねーんだってあんなの!
そもそもおまえ清められてねーんだよそれ。」






















「いや、もうそれでさんざん飲んでますよ!むしろ気持ち悪いんですけど!」






















「気持ち悪いってそれはあれだな。霊とかの仕業だな。
清めとけよ。」




























コンコン





















2人の紙コップを持つ手が止まる。















「聞こえた?」




















「・・・窓・・・ですよね?」
































コンコン














大野くんの肩がビクッとなった。

























おれがバールと塩を手に窓へ向かう。























窓の前に立つが気配は感じられない。




















アルコールのせいか思ったよりは落ち着いていた。

































ガラガラ























開けた瞬間に右手いっぱいの塩を投げつけた!





















ジャッ!




















するとそこには強風に踊るブラジャーが大きく揺れていた。














なんのことはない。




ブラジャーが風で窓にぶつかっていたのだ。
























「幽霊の正体見たり干しブラジャー!」

















大野くんと2人で爆笑。














「もうこれ取り込んでいいですよね?」
















さっき強がる大野くんを使って、天井裏登らせたり、押入れの壁をひっぺがしたりして部屋の中の探索は一通り終えていた。


















「もういいべ。なんも来ないよきっと。」
























大野くんがAKB48の「大声ダイヤモンド」を熱唱しながら女性用下着を取り込む。


















「おまえなんで一枚ずつ取り込んでんだよ!!
その青いやつごと取り込めばいいだろ!!」























「あ、すいません・・・大声ダイヤモンド歌ってたら

女の子の気持ちになってました。」


















30代になって初めての殺意を覚えた。
























それと同時にこのときなぜか違和感を感じた。
















なんだろう。何かがおかしい。




















どこかでシャツのボタンをひとつかけ違えている。



















そんな違和感だ。


















まぁ人間こういう事もあるだろう。とむりやり猜疑心を飲み込む。













「しかし霊も変態もいないとなると原因はやっぱ地上げですかね?」


















「わからんけどな。ただまぁ来ていきなり出会えるかどうかも微妙だよな。」


















すると大野くんがなんかモジモジしだした。


















「座布団くらい持ってくればよかったですね。腰が痛いですよ・・・」





















ボンボンが・・・























「それ完全に清められてねーよ。」























「それもういいですよ。紙コップもふにゃふにゃですよ」

























「ブラジャーにパッド入ってるからそれケツにしけば?」





















すると大野くんが黒いブラジャーを手に取り











「あ・・・意外としっかりしてるんですね!」

















と言って何やらゴソゴソし始めた。





















それを放置しおれが充電の切れたiPhoneの掃除をしていると

























「こうしたらどこに座ってもクッション付きですよ!」


























後ろを向いた大野くんのケツポケットに2つ折りのブラジャーが2つ。






















・・・好きにしてくれ・・・























その時おれの頭の中で、カチッと最期のパズルのピースがはまった。



















さっきの違和感の理由がわかった。




























幽霊はいない。



















地上げ屋もいない。




















変態も来なかった。






































変態は俺たちだ。























どうひいき目に見ても俺たちは変態だった。

























「おまえ大島なんとか(大野くんの好きなAKBの娘)のスカートが今あったら履くか?」































「履きはしないですけど・・・被りますね」























間違いなかった。




















変態はここにいた。



















つづく
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by dj-fut | 2010-10-18 22:18